2025/9/26 更新

ビジネスパーソンの転換点を深掘り

キャリアの成長 Before/After

効率や最短ルートの追求だけが「いい仕事」なのか? ビジネスパーソンとしての成長は、試行錯誤を必要とする困難や挑戦を乗り越えた先にあるはずだ。

本特集では、各企業の第一線で活躍する社員のキャリアにおける成長のBefore/Afterを深掘り。彼らが壁を乗り越え、飛躍を遂げたリアルな姿から、効率だけでは語れない仕事の奥深さと、確かな成長イメージを学ぶ。

日本貿易保険(NEXI)
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輸出保険部
輸出保険第二グループ 主任
佐藤 みゆき
慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、2021年に日本貿易保険に新卒入社。入社後の3年間は債権業務部(現:査定回収部)に所属し、ロシア・ウクライナ紛争への対応を経験する。24年に輸出保険部に異動し、海外の日系企業向けの再保険を担当。25年4月からは日本企業の輸入に係る保険種の引受も兼務
2022年、入社1年目の冬にロシア・ウクライナ紛争が勃発。現地と取引を行う企業から保険金支払いに関する膨大なお問い合わせに対応することに。未曽有の事態に焦る顧客に対し、丁寧かつ的確な判断が求められた。想定外の事態にもチームメンバーや専門知識を持った社内各部署と連携しながらすべての案件に最後まで対応。多くの日本企業の有事の際にサポートができたと実感したと同時に、大きな自信にも結びついた
先輩のサポートでデスクワークが中心顧客との接点も少なめ
専門部署と折衝を重ね保険金支払いを希望する一社一社に真摯に対応
未曽有の事態を成長のチャンスに
最後までやり切る姿勢が変化をもたらす

誰も経験したことのない困難を乗り越える中で
培われた顧客視点が新たな意欲に結びつく

日本貿易保険(以下、NEXI)は、多様な種類の貿易保険を通じて日本企業の海外展開を支援する、「政策実施機関」です。海外の取引先の倒産などによる不払いから、戦争や外貨制限、自然災害まで、民間の保険会社では対応が難しいリスクをカバーする公的な保険を扱っています。私は現在、輸出保険部に所属しており、海外に進出している日系企業や海外からの資材調達を前払いで行っている国内企業に対して、各種保険を通じて支援しています。

そんな私のキャリアの転換点は、入社1年目が終わろうとしている2022年2月、ロシア・ウクライナ紛争の勃発でした。当時所属していた債権業務部(現査定回収部)に、両国と取引をしている日本企業からの照会(保険金支払いの可否に関する問い合わせ)が殺到。私も先輩たちと共に対応に当たりました。当時の私は先輩のサポートをしながら仕事を覚え、ようやく一人で保険金の支払いまでを担当できるようになった、という段階でした。デスクワークが中心で、被保険者である企業の方々との接点を持った経験もそれほど多くはありません。しかし状況は一変。企業の方々からの照会は紛争勃発後の3~4カ月で100件以上と急増し、私自身がフロントとしてお客さまと接点を持つ機会が急激に増えました。「取引先が避難して所在が分からなくなり、貨物が届かない」「日本から輸出した商品を保管する倉庫が爆撃を受けた」「外為法(外国為替および外国貿易法)の規制で輸出できなくなった」など、さまざまなリスクに直面した企業からの照会が相次ぎました。一社ごとに異なる保険の適用条件を全て確認し、関係部署と連携しながら一日も早く保険金の支払いを実現させなければならない。進捗状況や確認事項が一目で分かるリストの作成や企業側の負担が減る申請書の簡素化など、未曽有の事態を乗り切れるよういくつもの工夫を凝らしました。

中でも最も力を入れたのは、企業側との適切なコミュニケーションです。例えば、保険に詳しくない中小企業の経営者の方には、約款や保険金支払いの仕組みなどをかみ砕いて伝えますが、大手企業の保険事業課や貿易保険室など専門部署の方には、約款の細部の解釈などについて論理的に伝えます。相手のポジションや知識量に応じたコミュニケーションを意識しながら対応を進め、お客さまによっては2年以上かけて保険金の支払いを実現しました。はじめは焦りからか厳しい言葉が多かった企業の方々も、状況が落ち着くに連れて「あなたに担当してもらえて本当によかった」と感謝してくださることも。多くの日本企業の有事の際のサポートができた実感と、最後までやり遂げられたという達成感を得られました。

困っている人を助けたいという思いからNEXIを選んだ私ですが、この転換点を経て、より顧客が求めるニーズに応える意識が高まったと感じます。NEXIは日本企業の海外取引やビジネスモデルの変化に対応して、保険商品を増やしたり、既存の約款を改善したりと、アップデートを続けてきました。私も変化し続ける企業のビジネスを支援する新しい保険商品を生み出したい。従来の枠にとらわれることなく自ら企画するなど、進んでチャレンジをしたいと考えています。

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