2020年以降、企業はどう成長するのか。
トップが挑む「経営改革」ビジネストレンドが目まぐるしく変わる昨今。2020年以降も、さらなる変化の波が押し寄せてくる――。そんな中、日本を代表するリーディングカンパニーの経営者たちは、“生き残りをかけたチャレンジ”に踏み出した。各社の成長戦略や、経営理念を知り、企業で働く醍醐味を感じてほしい。
株式会社プロレド・パートナーズ
代表取締役 佐谷 進氏
さたに・すすむ/東京芸術大学美術学部卒業後、ジェミニ・コンサルティング、ブーズ・アンド・カンパニー(現・プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社)において、大手プラント工業のリエンジニアリング、大手都銀の営業戦略の策定、経済産業省依頼のリサーチなどを担当。その後、ジャパン・リート・アドバイザーズにて不動産運用(REIT)に携わる。2009年、プロレド・パートナーズ創業。著書『体温の伝わる交渉』ほか、講演・雑誌への寄稿なども行う
ITの発達により、数値の計測や分析が容易にできるようになった昨今、あらゆるものにおいて“成果”が重要視されています。例えば、広告手段においても、万人に向けたテレビCMは衰退し、特定の人々に情報を届け、かつ、数値による効果測定ができるネット広告を利用する傾向が強まっています。効果が分からないものは淘汰され、明確な成果を提示できるものが求められる時代となったのです。
成果を測れないものには納得しないこのシビアな時代の到来は、業界内でいち早く成果報酬型のコンサルティング・ビジネスをスタートしたわれわれにとって、まさに追い風と言えます。これまで成果を数値化しやすいコスト削減や売り上げ向上におけるコンサルティングを中心としてきましたが、今後、IoTやAIなどの技術がさらに発展すれば、顧客満足度などの効果測定が難しかった多様な分野への対応も可能になるでしょう。効果測定の指標が増えれば、成果報酬型のコンサルティングの需要はさらに高まります。その一方、われわれのビジネスモデルを後追いする形で、競合が増えることも十分に予想されるのです。
そのため、私たちはキャッシュイン先行型ではなく、あらゆる面で投資によるキャッシュアウトを先に行い、他社の追随を許さないビジネスモデルで差別化を図っていきます。
現時点でも報酬を受ける以前に、各プロジェクトにコンサルタントを投入していますが、今後はシステムなどを無料で提供するなどの先行投資も行い、究極のインベストメント型コンサルティングを実現していきます。他社にはまねできない一手を打ち、業界でも類を見ないビジネスを確立する。いわば、「経営不戦略」の手法。競合と戦うのではなく、いかに「自分たちにしかできないこと」をやるかが大事だと考えています。
優秀なチームを作り 突き抜けた存在を目指す
世の中においては、“価値”と“対価”がイコールでないものが多くあります。100の価値を提供するような商品が安く買い叩かれ、赤字に苦しむ企業がある一方、株の売買のように簡単に数億円を儲けられる仕組みもある。価値が正当に評価されない世の中に憤りを感じますし、こうした状況をなくさない限りは、社会における格差もなくならないと思っています。そこで自分たちがやるべきは、「対価」に見合った良い「価値」を提供し続けることです。今後は成果報酬型のサービスをさらに多角化し、より多くの企業の成長を支えていきます。すでに、BtoBだけでなく、BtoCのマーケティングなど、効果測定における難易度の高い分野で成果報酬型のメニューをスタートしました。さらに、人材はもちろん、投入できるシステムや資金の充実化を図るため、2018年に株式上場を果たし、資金調達の準備も整えました。
また、組織づくりにおいては、企業理念は掲げず、ビジョンのみとしています。と言うのも、人々の価値観が多様化している今、ビジネスパーソンが持つ企業へのロイヤリティ(忠誠度)が少しずつ薄れているように感じています。その中で、なぜ人が会社に所属するのか。それは企業理念への共感ではなく、「この場所が好き」「このチームが好き」という環境面での要因が強くなっていると考えています。私たちはそんな環境を実現していくために、当社では行動規範をもうけています。考え抜くことによって、個人の成長を促す「Think Out」、敬いと思いやりを持って人に接し、互いに助け合える存在となるための「COMPASSION」です。一人の経営者に頼るのではなく、それぞれが個性を発揮して活躍できる「優秀なチーム」こそが、理想の姿です。
当社は、クライアントから事前にキャッシュを頂かない成果報酬型のビジネスだからこそ、新人にもチャレンジングな取り組みを任せられます。そして入社1年目からフロントとして活躍することが可能です。また、私や役員自らが新卒社員のメンターとなり、月に一度、1対1の面談で目標達成への悩みや疑問に応える仕組みもあります。これは組織人としてのみではなく、成熟した人としての視野を広げ、人間力を育む機会を与えていく取り組みの一つです。経営層が積極的に個々の成長に関与し、優秀な人材を育成していきたいと考えています。
大量消費のビジネスモデルが頭打ちになり、個人も企業も多様性が認められるようになった今だからこそ、「ここだけは譲れない」という確固たる信念を持つ者が生き延びると考えています。社員と共にビジネスのエッジを尖がらせ、突き抜けた存在として走り続けていきます。
[Company info]
完全成果報酬でコンサルティングを手掛ける国内唯一の経営コンサルティングファーム。ターンアラウンド、ローコスト戦略、AI×BPRLABなどのサービスを提供。2018年7月、東証マザーズ市場に上場