リーディングカンパニー37社の人事に聞く
学生が知らない成長企業の真実
就職活動に臨むにあたって、企業研究を行う学生は多いだろう。その時に気になるポイントの一つが、会社の成長性だ。では、会社の成長とは何か。その成長を支えるものとは何なのか。そして、成長企業に新卒入社し、働く醍醐味とは……? 国内リーディングカンパニー37社の人事・採用担当者に、各社の事例で“成長企業の真実”を聞いた。
※この記事は特別冊子「インターンシップ・ラボ2021」のweb転載です
村田製作所
1944年に創業し、数多くの世界トップシェア製品を持つ総合電子部品メーカー。家電や自動車関連のアプリケーション、エネルギー管理システムなど多彩な製品の電子部品における原材料から製品までを一貫生産している
人事グループ 人材開発部
採用課 マネージャー
神谷亮摩氏
ラジオから始まり、現在ではスマートフォンや自動車、AV機器といった電子機器は、いつの時代も私たちの身近にありました。そしてこれらの電子機器内部には、積層セラミックコンデンサやSAWフィルタ、セラミック振動子など、村田製作所(以下、ムラタ)の製品がほとんどの電子製品に組み込まれています。このようにムラタは、電子部品の領域において、幾多の世界ナンバーワン製品を生み出してきました。そして時代と共に進化してきたエレクトロニクス産業をリードし、文化の発展や新たな社会の創出に貢献し続けてきたのです。ムラタにしかできない製品作りにこだわり続けてきた結果、売上高1兆5340億円、営業利益2532億円と国内電子部品業界の中でもトップクラスの売上・利益を誇っています。大きな成長を遂げられてきたのには、いくつか理由があります。一つ目は、業界平均を大きく上回る、研究開発費や設備費に対する先行投資です。二つ目は、〝社是〞の存在が挙げられます。「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」というのは、創業以来大切にしている精神です。「誰も作ったことのない物」を生み出す姿勢が、新製品売上高比率約40%という成果にもつながっています。そして三つ目が、こうした社是を基に根付くボトムアップの社風です。一人一人に大きな裁量があり、「自分がどうしたいか」というメンバーの意思決定を大切にする文化があります。遠慮のない風通しの良さが、年次や年齢、バックグラウンドにとらわれない発想や創造につながっています。
ではムラタは今後どこを目指すのか。日本は現在人とモノがつながり、より効率的で快適な社会=Society5.0を目指しており、その実現のためIoTやビッグデータ、AI、ロボット、5Gなどの技術が求められています。ムラタはこうした時代の変化に合わせて独自のモノづくり技術を磨き、世の中のIoT・IoE化に貢献していきます。具体的に取り組むのは大きく二つ。一つが既存事業における商品の進化と新製品の開発。二つ目が新規事業創出への注力です。既存事業の中でも注力するのは、通信、自動車、ヘルスケア、エネルギーの4領域。5Gにより加速するであろうスマホをはじめとする通信デバイスの進化や自動車の自動運転、工場の予防保全、遠隔医療など多くの変化が起こる中で、通信関連部品やセンサなど、多様に活用できる電子部品は進化が求められます。また、新規事業の創出においては、10年後の事業の柱となる技術やサービスを常に模索しています。コミュニケーションを数値化・データ化できるセンシングデータプラットフォーム〝NAONA〞や靴下などのアパレル・紙おむつなどの衛生材に対する抗菌性能を発揮する圧電繊維もその一つです。そのほか、空中で触覚を感じることができる3Dハプティクス技術、小型で高安全かつ高生産性で表面実装可能な全個体電池など独自の製品・新事業に取り組んでいきます。