ビジネスプロフェッショナルが解説
「真の企業力」を見抜く方法
会社の良しあしは「知名度」だけでは測れない。これから先も長く発展し続ける会社、急成長を遂げる可能性を秘めた伸びしろのある会社は、どうすれば見極められるのだろうか。企業経営、組織開発・採用のプロフェッショナルたちが、各社の事例を用いて「真の企業力」を見抜く方法を解説。インターンシップで確認すべきポイントも紹介する。

調査役
唯一無二の立ち位置で日本社会の発展に貢献
企業の役割と事業内容の独自性に注目してみよう
日本政策投資銀行(以下、DBJ)は、政府系の金融機関として、一般的な金融機関とは異なる独自の立ち位置で事業を展開しています。特徴は大きく分けて二つ。一つは、日本の社会課題解決に寄与するプロジェクトを長期的な目線で支援できること。短期間で利益を生み出せなくても、将来社会の課題を解決し得る事業を運営している企業は、数多く存在しています。DBJであれば、目先の利益にとらわれず、長期的にそれが社会全体にもたらすであろう意義を重視し「今やるべき」という決断をすることができます。もう一つは、官と民をつなぐ中立的な役割で、民間の金融機関や異なる業界の多様なステークホルダーと協力関係を築きながら、プロジェクトを推進できることです。加えて、震災時やコロナ禍の危機時には、窮地に立たされた企業に対しての一時的な金融支援だけではなく、中長期的な視点での経営戦略への助言など、復興・復旧を超えた持続的な成長を見据え、迅速かつリスクを取った支援を行いました。
DBJは、常にその時代で日本社会の重要課題となっている領域に注力してきた組織であり、エネルギー業界から、不動産、物流、ヘルスケア、スタートアップ業界等、幅広い産業における国内外のお客さまのニーズを捉え、あらゆる角度から産業社会を支えています。その中で現在は、特にインフラ・産業・地域創生・金融分野のフロンティア拡大の四つを取り組むべき重要課題として掲げています。例えば産業分野では、アンモニアの小型製造装置を開発しているスタートアップ企業への投資を実行しました。CO2が出ないクリーンエネルギーかつ肥料の主原料であるアンモニアの普及の一翼を担う技術は、環境問題および食糧問題の解決に必要不可欠です。このような社会課題の解決に必要となる新技術は、ビジネスとして確立されていないケースも多く、経営ナレッジの共有や人材の派遣など、投資・融資の枠を超えた幅広いソリューションが必要。そのためDBJはファイナンスに加え、経営面でも支援を行い、企業価値向上を目指すパートナーとしてお客さまに伴走しています。他にも金融分野のフロンティア拡大を見据え、新たな金融ソリューションを積極的に開拓している具体例として、「サーチファンド」の取り組みがあります。これは米国などでは既に広まっている、経営者を目指す個人と事業承継を課題とする企業をつなぐ仕組みであり、深刻化している事業承継問題の解決の糸口です。このように、社会価値の高い案件に取り組むことができる一方で、企業やDBJ自身が持続可能であるためには、利益の確保にも目を向けなければいけません。そうした背景からDBJでは、そのプロジェクトに取り組む社会的な意義を十分に議論した上で、金融のプロフェッショナルとして収益面も徹底的に精査しています。「社会価値と経済価値の両立」を追求するという、この姿こそがDBJの独自性であり、日本の未来の発展に貢献できる唯一無二の立ち位置であると言えると思います。
職員の高いモチベーションと個人の成長を支える
DBJならではのキャリア形成・研修制度
真の企業力を見極めるポイントとして、企業の目指す方向性・ビジョンが明確か、職員がモチベーション高く働いているかの2点に注目していただきたいです。DBJの場合、その成長を支えているのは、日本社会に貢献するビジョンやユニークな立ち位置に共感し、モチベーション高く働いている職員たちです。そのモチベーション向上のため、DBJでは職員のキャリア形成とそれをサポートする研修に注力しています。キャリア形成では「戦略的ローテーション」制度のもと、入行後7~8年間は比較的短いスパンでの異動で多様な業務を経験し、キャリアのベースとなる専門性と俯瞰的な視野を身に付けます。その後、個人の志向や適性に応じて長期的なローテーションにより専門性を深化させながら、これまでの経験をもとに複数の専門性を統合し、変革する時代の課題を解決できる総合力も養います。なお、配属については定期的な人事面談の場で個々人の希望を伝え、組織と職員双方向の対話の中でキャリアをつくることができます。研修に関しては多彩なカリキュラムを用意しています。その一つに、海外のビジネススクールと提携した「グローバル人材育成プログラム」があり、若手~中堅層の職員に向け、組織のあるべき姿を経営的な目線で考える機会が提供されています。参加者は海外大学に赴き、リーダーシップや組織論などを学び、帰国後にはDBJの経営層に対し、今後の経営方針に関するプレゼンテーションを実施します。私も参加しましたが、一連の研修を経ることでグローバルかつ経営的な視座を早くから身に付けられるよう構成されており、自分のリーダーシップについても見つめ直すことのできる貴重な機会でした。
この他にも成長機会が豊富にあるため、DBJの職員は自己成長をかなえながら、その先にある「日本社会の発展」に貢献することができています。ぜひ企業選びでは、組織の目指す方向性に共感できるか、モチベーション高く働けるかを重視し、納得感のある就職活動を実現していただければと思います。
制作担当/向川巧真

インターンシップは、1dayから複数日でさまざまなプログラムを用意。業務を疑似体験できる内容で、職員の思いや働くイメージを体感できるのが特徴だ
インターンシップMUST DOリスト
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ワークで生まれた疑問点は
何でも聞いてみるインターンシップは、企業の職員と近い距離で関われる貴重な機会。気になることは何でも聞いてみて、自分で納得できる情報を集めることが重要です。インターネットで得られる情報以上に、その時感じた印象や実際に体験した「生の情報」が、企業理解につながります。
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2
積極的なアウトプットに
チャレンジするワークでリーダーシップをとる、発表にチャレンジするといった積極的なアクションが大切です。自分から行動を起こすことで、職員や参加者からのリアクションを通し、新たな気づきが得られます。その気づきが、企業の理解を深めるための重要な役割を担うのです。
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3
自身の学びや感じたことを
忘れないうちに言語化する実際に参加してみて感じたこと・学んだことは、企業を選ぶにあたって重要な判断材料。忘れないうちに言語化してまとめることが重要です。言葉にしてまとめることで、実は理解しきれていなかった企業情報や自身の志向がクリアになり、より一層解像度が上がります。