いい会社って何だ?
人々の共感を生み
平和・幸せに貢献
青山学院大学卒業後の1985年、新卒で同社に入社。地方記者としてスタート。その後、編集者として経験を積む。東京・西部本社で編集局のマネジメントを手掛けた後、2013年、東京本社編集センター長に就任。その後、名古屋本社編集局長、大阪本社編集局長を経て21年より現職
多様な人材が活躍できる環境づくりが
信頼性の高いメディアをつくる基本
私が考えるいい会社とは、パーパス、言い換えれば会社の目指すところが社会から共感を得られる企業です。人々の支持があってこそ、企業は長く役割を果たし続けることができ、社員が誇りを持って働けると思うからです。
では、朝日新聞社の存在意義とは何か。1952年にできた「朝日新聞綱領」という方針があります。この中には、こんなことが書いてあります。「不偏不党の地に立って言論の自由を貫き、民主国家の完成と世界平和の確立に寄与す」「正義人道に基いて国民の幸福に献身し、一切の不法と暴力を排して腐敗と闘う」。かなり堅苦しいですが、易しく言えば「言論をもって世界の平和に貢献したい、皆さんの幸せの役に立ちたい」ということです。大きすぎる目標かもしれませんが、この2点が、私たちのパーパスと言えると思います。
正確なファクトに基づいて、人々の判断や課題の解決に役立つ情報を示す。文化、芸術、スポーツのイベントを催す。教育事業、不動産事業など、さまざまな取り組みを通じて、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を守る。そんな存在で有り続けることを目指しています。
誰でも情報を発信できる時代になり、メディアの在り方も大きく変わっています。あふれる情報の中には、真偽の判断が難しいものもたくさんあります。世界中で格差と分断が進んでいます。その背景にはフェイクニュースがあると言っていいでしょう。だからこそ、私たちはできる限り「公平・公正」な視点でニュースを提示し続けなければならないと思っています。今、何が起きているのか。どうしてそうなっているのか。確かだと信頼してもらえるニュースを伝えるには、どこからも影響を受けない独立した経営基盤と、多様性のある人材が不可欠です。それは、新聞事業に限りません。
当社では、デジタル、イベント事業、不動産事業を中期経営計画で収益の3本柱に掲げています。朝日新聞デジタルをはじめ、展開するウェブメディアは30を超えました。展覧会や夏の高校野球、合唱・吹奏楽、囲碁・将棋など、イベントにも力を入れています。こうした幅広い事業を、高度な技能を持つ情報技術部門が支えています。手掛けている事業が多くのジャンルにわたるため、おのずとさまざまな人材が必要になり、また活躍もできる環境と言えます。
新聞社は男社会とか、長時間労働とかというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、どんどん変わっています。育児休業や、子育て・介護をしながら働くための勤務制度をきめ細かく整え、性別に関わらず子育てをしながら仕事を続けられる環境ができています。2020年には、業界に先駆けて「ジェンダー平等宣言」を公表しました。管理職の女性比率の倍増、コンテンツやイベントに登場する男女比率の平等化に取り組んでいます。働き方改革も進め、22年には5年連続で「健康経営優良法人」に認定されました。今は男性の育休取得率100%の実現も目指し、誰もが活躍できる環境整備を進めています。
しなやかな発想でチャレンジできる若手こそが
先の見えない時代を乗り切る力になる
5年後、10年後、メディアの在り方は、私たちの暮らしはどうなっているでしょう。業界の地図は、これから新聞・放送といった垣根を超えてさらに変化するでしょう。新しいメディアのかたちをつくっていくために、前例や固定観念にとらわれず、柔軟な発想ができる若い世代の力が必要です。若いからアイデアを出しづらい、意見を言いづらいということは全くありません。管理職にもよく耳を傾け、尊重するよう伝えています。私など、言われすぎて困っているくらいです。そんな風通しのよさは、朝日新聞社のいいところです。
1879年の創業以来、前例のないことに挑戦してきました。時代の変化が速くなる中でも、冒頭に書いたような大きな目標を掲げ、チャレンジを続けています。キャリア構築も、一つの決まった道を歩む時代は終わりつつあります。部署の壁を越えて交流し、いろいろな仕事を経験しながら視野を広げ、技能を身に付ける仕組みをつくっています。デジタルスキルやITリテラシーを学ぶ研修も実施し、情報技術分野の採用・育成にも力を入れています。
一人一人が個性を発揮できるフィールドに生まれ変わった朝日新聞社で、思う存分、既存のメディアの殻を破る挑戦を楽しんでほしいですね。
メディアの形を変え
社会にインパクトを与えられる