20代の若手ビジネスパーソンや学生に向けて、自らのキャリアを深く考える場を設けるために誕生した新イベント「キャリアサークル」。
第2回のテーマは「20代で“強み”を見つける!一流を目指す人の20代のすごし方」。どんな分野にも「一流」と呼ばれる人は必ずいるもの。では、「一流」とそうではない人の間には、どんな差があるのだろうか。今回は、20代のすごし方に着目し、一流のビジネスパーソンとなるために今なにをすべきなのか。ゲストの株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ 代表取締役 安田正氏による熱いトークが繰り広げられた。
『超一流の雑談力』『一流役員が実践してきた 入社1年目から「できる人になる」43の習慣』など、多数のベストセラーを持つ安田氏。開口一番、切り出したのが、「28歳までの過ごし方で人生が変わる」という一言だ。成功のためには、まず自他共に認められることが大事。そのタイムリミットが28歳だと安田氏は設定する。28歳までに奇跡を起こせるか。そこが、一流とそうでない人の分岐点になると言う。そう遠くないタイムリミットに、参加者の表情も一瞬で真剣なものに変わった。
これまで数多くの一流のビジネスパーソンと出会ってきた安田氏は、「成功する人には、ある共通するものがある」と話す。一流のビジネスパーソンなら誰しもが持っているもの。それは、「運」だ。
意外な答えに、会場がざわめく。だが、この「運」とはいわゆる神頼みのような、ただ漫然と待っていればやってくるものではない。むしろその逆。「運」とは自ら掴めるもの。つまり、「運」を掴む力を磨くことが、20代でやるべきことなのだ。だが、「運」のような曖昧模糊としたものをどうやって掴めるというのだろうか。参加者の頭に浮かぶ疑問符に答えるように、安田氏は「運を掴む2つの方法」を紹介した。
安田氏が紹介した「運を掴む2つの方法」とは以下の2通り。
■自分の強みを発見する
■コミュニケーション能力を磨く
まずはこの自分の強みの見つけ方について、安田氏は細かく解説を始めた。
自分の強みと言うと、どうしても周囲と自分を比べて、他人の長所を羨んだり望んだりしてしまうが、安田氏は前提として「ないものねだりはできない」と釘を刺す。それよりも「あるもので勝負していくことが大事」と鼓舞をする。
まずは、自分の中にある長所/短所を可視化することが必要だ。そこで今回は、パンネーションズ・コンサルティング・グループが提供する診断テスト「search Me(https://searchme.jp/)」を用いた。「search Me」とは、世界的な性格診断方法として知られるエコグラムに基づき、人間を5つのタイプに分類する診断ツール。診断結果となる5タイプを簡単に紹介しよう。
CP:高い理想と強い責任感をもってリーダーシップを発揮する
NP:面倒見のよい性格で、親切で思いやりが深い
A:理性的で判断力にすぐれ、客観的事実を重視し、自分の感情をコントロールする
FC:のびのび振るまい、感情を素直に表現します。創造力と直感力に長けている
AC:順応で協調性が高く周囲に気兼ねし、その期待に応えようと努力する
会社には社風がある。また、仕事には適性がある。Aが大多数を占める会社にFCの人間が入れば、価値観のギャップに苦しみ、自分の強みを損なうことになりかねない。あるいはNPの強い人間に合理的判断を問われる仕事を与えても、本人は大きなストレスを抱えてしまうだろう。自分の強みが何か知るには、印象論より、有力な根拠のあるツールを使うのがオススメ。「自分に合う会社を選べた人は、それだけでラッキーだと思う」と安田氏が力説する通り、合わない環境でじっと我慢するより、自分に合う環境を見つけ出すことが、運を掴む第一の方法だ。
そして運を掴むもうひとつの方法が、コミュニケーション能力を磨くことだ。日本人はコミュニケーション能力が低いと言われている。その主な原因として、安田氏は「表情」を挙げる。
共通の言語で話し合っていても、相手の言っていることの30%しか人は通じ合えていないと言われている。これを安田氏のトレーニングを用いることにより、87%にまで伸ばすことができるのだとか。この劇的な上昇の一因となったのが、「表情」だ。
印象形成において大きな影響力を持つパーツは、安田氏によると、目、口角、歯の3つ。少し目に力を入れ、口角を上げ、上の歯を7~9本見せるくらいの大きさに口と開けてみるだけで、印象は見違える。第一印象を決めるのは、言語情報ではなく、視覚情報だ。明るい表情からスタートするだけで、その後のコミュニケーションはぐっと親しみやすいものになる。
さらにもう1点、気をつけておくべきなのが、話し方だ。言いたいことが相手に伝わらない。話が退屈。そんな悩みを抱える多くの人に共通するのが、「何を言うか考えながら思いつきで話している」ということだと安田氏は指摘する。人を惹きつける話し方には、まず自分が相手に何を伝えたいのか全体像を理解し提示するのが一番。「そのために注意すべきことは、たったの3つだけ」と安田氏はアドバイスする。
<人を惹きつける話し方の3つの極意>
Step1 話のポイントは何個か考える
Step2 各ポイントを予告する
Step3 予告した通りに話す
まずは話のポイントを明確にすることで、自分が何を話したいのか情報の整理をする。その上で「今回私がお話しするのは、以下の3つのポイントです」といったふうに冒頭に予告をするのだ。こうすると聴衆の興味も一気に高まる。あとは不要な脱線に走らず、予告したポイントに沿って話をするだけで、相手も理解しやすくなる。つい話が行ったり来たりしてしまう人や、途中で何の話をしていたかわからなくなる人は、この3ステップを押さえて話をしてみてほしい。周りの反応が一気に前のめりになるはずだ。
身の回りには話し上手の人は一定数いる。彼らの話が退屈しないのは、彼らが「相手の聞きたいこと」を話しているからだ。コミュニケーションにおいて大事なことは、相手がどんな話を聞きたいのか、短い雑談の間で的確に察知し、相手の喜ぶ話を提供すること。それができる人間が周囲から信頼され重宝されるのだ。
ここまで話を通じて、安田氏の言った「運」とは、つまり「人脈」を意味しているということが見えてくる。運を運んでくるのは、人と人との縁。運を掴むには、そのための人脈を築くことがまず大切だ。しかし、人脈とは誰にでもつくれるものではない。価値ある人脈を築けるのは、「価値ある人」だけ。だからこそ、自分の強みを見つけ、それを発揮できる場に身を置くこと。そして、人から親しまれるコミュニケーション能力を培わなければならない。
安田氏の熱弁に触発されるように、参加者からも質問の手が続々と挙がった。「自分が本気でこれをやりたいというところを見つけるためには?」という質問に対し、安田氏はキャリアの選択自体は常に「賭けなんですよ」と不確定要素が大きいものであることを認めた上で、「ただ、自分の弱いところで勝負する仕事はやめた方がいい」と忠告。苦手なことや不向きなことをどれだけ磨いても人並みにしかならない。一流になるためには、何か突出したものが不可欠。だからこそ、たとえば「search Me」の結果がCPだった人なら「やっぱりリーダーにならないとダメ。大企業にいるより、ちょっとサイズダウンしても小さい会社に行ってリーダーシップをとった方がいい」と、あくまで事業規模で会社を選ぶのではなく、自分の強みを活かせるかどうかを判断軸に置くことの重要性を説いた。
また、「価値ある人脈とは?」という質問には、「相手の役に立って、自分の役にも立つこと。双方メリットがないと人間関係は続かない」と回答。「役に立つかはお互いの値踏み。会社を超えたところでこの人と付き合いたいと思わせる人にならないと、人脈とは呼べない」と若いうちに個人で勝負できる力を身につける必要性を訴えた。
20代はあっという間に過ぎていく。ただ何となく過ごしている人と、一流になるために戦略的に計画を立て実践していく人では、確実な差が生まれていくことだろう。重要なのは、いつかその手でチャンスを掴むために、自身に好機をもたらす「人脈」を今からしっかり広げること。一流となるか、そうでない人になるか。今、多くの20代はその分岐点に立たされているのだ。
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社会で働く年の近い先輩たちの話をきいて、将来の自分を想像してみてくださいね。