“自分にベスト”な1社を見極めるには?
20代15人、就職の決め手「自分に合う会社」って一体どうすれば見つかるんだろう? その答えを探るべく、この特集では、トップカンパニーでイキイキと働く先輩たちに、就職先選びで重視したことを聞いてみた。自分に最も合った会社とは何か、先輩たちの実体験を通して、“ベストな1社”を選ぶためのヒントを教えてもらおう。
ビッグデータやAIなど、新しいIT技術に注目が集まり始めた2016年の夏に、私の就職活動はスタートしました。当時私は、大学院で人間環境学を専攻。人間の眼球運動を研究し、実験データの分析や調査をしていたこともあり、「データサイエンス」に関わる仕事をしたいと考えていました。
では、どんな業界でその経験を積みたいのか。就職活動関連の書籍や、就職した先輩の話をもとに参考にしましたが、答えは見つかりませんでした。それなら、さまざまな業界と関わりながら自分の好きな業界を見つければいい。そう思い、国内外のコンサルティングファームやシンクタンクを中心にインターンシップや説明会に参加するようにしていました。どんな仕事がしたいのかが明確だったこともあり、順調に選考が進み、結果的に富士通総研(以下、FRI)をはじめ、3社ほど内定を頂きました。しかし、どの企業が自分にとってベストな選択なのかを決めきれないまま、内定承諾書の提出期限は目前まで迫っていたのです。
そんなときに開催されたFRIの内定者懇親会での出会いが、入社の決め手となりました。出会ったのは、入社2年目の先輩社員。年齢が近く、入社からわずか1年にも関わらず、大手メディアの画像認識システムの新規開発を任されていました。お客さまへの提案だけではなく、分析や調査まで一貫して携われること、若手のうちから多様な経験が積める環境や画像認識のシステム開発に魅力を感じ、入社を決めたのです。
入社後は、希望していた画像認識プロジェクトに、念願かなって配属が決まりました。動画を配信する際に顔認証の技術を使い、リアルタイムで出演者の名前を表示する仕組みを作りあげることがゴール。出演者一人一人の顔をデータ化し、その膨大なデータをスピーディーに引き出せるシステム基盤を開発しました。学生時代とは違い、想像以上に多いデータを扱うことは非常に難しかったのですが、先輩のサポートもあり、検索性の高い仕組みを完成させることができました。
入社2年目の春には、自然言語処理関連のプロジェクトに志願し、大手メーカーの特許分析システムの開発に参加しました。お客さまが要望されていたのは、世界に約70億件あると言われている特許の調査を簡易的に行えるシステム。膨大な文献から類似性のある文章を抽出するためには、AIなどの人工知能を活用した高度な技術レベルを要します。また、メーカーの新製品が他社製品の特許を侵害した場合は億単位の損害賠償が発生し、世の中の信頼を失いかねないため、メーカーにとって特許の調査は非常に重要なもの。ミスが許されないという難易度の高さがありました。さらに、お客さまは特許分野のプロである工学博士です。社会に出て2年ばかりの私に比べて経験や年齢もはるかに上の相手。本来はオーダーを受けた私たちが提案すべき施策を、お客さまから先に提示されることもありました。けれど、お客さまのご意見をうのみにして実行だけしては、私たちの存在価値を発揮できません。より良いシステムを生み出そうと、技術部のベテランの先輩にアドバイスを求めながら手法を模索し、新たな解決策を提案しました。するとお客さまから「こんな方法があるんだね」という驚きと喜びの声を頂けたのです。私の調査がお客さまの新しい発見につながったのだという実感が湧き、うれしかったです。
これまでの2年間を通じて、学生の皆さんにアドバイスをするなら、まずは自分のやりたいことを明確にしましょう。そして、好きなことが実際に仕事で実現できるのか、若手の先輩と会話ができる場所で聞いてみるといいと思います。仕事は楽しいことばかりではなく、苦難もつきもの。壁にあたる度に勉強し、乗り越えることが必要ですが、好きなことだから向上心を持って取り組めます。意欲を持ち続けられる仕事ができるかを確かめる。それも会社選びの大事な軸ですね。
大学時代はデータを読み解き、調査や分析をすることが好きでした。就職活動を始めた頃から、はやり始めたビッグデータやAIの話題の中でも、大規模な数値と科学を掛け合わせ、社会貢献につなげていくデータサイエンスの領域は、私の好きなこと、仕事で実現したいことに通じていました
データサイエンスには興味があったものの、どの業界の、どの会社での仕事が良いのかはギリギリまで判断がつかず、決めかねていました。そこで、多種多様な業界のお客さまと接することができるFRIで幅広い知識を身に付けながら、自分の得意な領域を見極めていこうと思ったのです
FRIでは入社1年目の若い年次から、官公庁や大手メーカーなど、スケールの大きなお客さまのプロジェクトに携われます。一般的にはベテラン社員が行うようなビジネスの企画にも、どんどん挑戦できます。私も実際に、希望していた業界大手のメディア企業のプロジェクトに参加できました