2018/11/28 更新 変化の時代の「普遍」を考える 名リーダーたちの人生哲学

【松本晃氏】求められるのは、変化に対応できる頭の柔らかさ。「Change my mind」は誰でも1秒でできる

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変化の時代の「普遍」を考える
名リーダーたちの人生哲学
激動の時代─。これまでの常識をアップデートし、人生のグランドデザインを見直すべき時が到来している。しかし、世の中の変化に“流されてしまう”リスクも忘れてはいけない。そこで、時代を代表する名リーダーたちに、「変化の時代」をたくましく生き抜くための「普遍」について聞いた。私たちが見失ってはいけないものとは─。

RIZAPグループ株式会社 代表取締役COO 松本 晃氏

1947年生まれ。京都大学大学院農学部博士課程修了後、伊藤忠商事に入社。93年、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人に入社。代表取締役社長、最高顧問を歴任。2008年、カルビー代表取締役会長兼CEOに就任。09年度から2016年度まで8年連続の増収増益を達成し、働き方改革やダイバーシティ推進でも高い成果を出した。18年3月に退任。同年6月より現職

世の中が変わっても日本は相変わらずの学歴主義

今は変化の時代と言われますが、世の中が数十年に一度の激変を経験したのは、実は1990年前後のことでした。何が起こったかといえば、東西冷戦の終結です。これにより、すべての物事がガラリと変わってしまった。ところが、世界の中で日本だけがほとんど変わっていない。こんなに変わらない国も珍しいくらいです。

例えば「就職」も、本当はあの時点で大きく変わるべきでした。ところが、日本は今も相変わらずの学歴主義です。私はこれまで数多くの採用面接をしてきましたが、それで分かったのは「出身大学と仕事の優秀さには相関関係がない」ということ。いわゆる一流大学を出た人が得意なのは、記憶することとクイズを解くこと。それと仕事ができるかどうかは、全く関係がありません。

それに昔の日本企業は、一部の優秀なエリート社員を除けば、あとは金太郎飴のように無個性な社員がいればよかった。当時は第二次産業が中心だったので、工場で決められたことを決められた通りにやる人間が大量に必要だったからです。しかし今は、工場の仕事はロボットがやってくれる。人間がやるべきなのは、新しい事業やビジネスを生み出したり、今の仕事をより良く変えていくことです。それには、一人一人に個性がないといけない。そして時代の変化に対応し、「次にやるべき新しいことは何か」と考えることができなくてはいけません。

よって今の時代に活躍できるのは、変化に対応できる頭の柔らかさを持った人です。もちろん、世の中には変わらないものもあります。例えば倫理観や道徳観は、いつの時代も変わらず大事にすべきです。しかし、普遍のものを知った上で、やはり世の中の変化には対応しなくてはいけません。

ところが一般的に見ると、頭の良い人ほど頭が固い。その点、私自身は頭が柔らかいことが一番の強みだと思っています。なぜなら、意識して頭を柔らかくしているから。人から反対意見を言われたときも、腹を立てるのではなく、「よく考えたら、あの人が言うことは正しいな」と頭を切り替えればいい。世の中で一番易しいのは「Change my mind」、要するに考え方を変えること。こんなことは、1秒あれば誰にでもできます。

しかし実際は、1秒でできることが100年経ってもできない人がいる。それは頭が固いからです。日本の経営者にも、そういう人が大勢います。ただし若い世代の中には、頭の柔らかい経営者が出てきている。私が今年6月にCOOに就任したライザップグループの瀬戸健社長もその一人です。日本の将来のためには、こういう人を大成功させなきゃいかん。そう思って、私はこの会社に移ってきました。彼は今も成功していますが、この程度ではまだまだ。今の100倍くらい成功してもらわなければいけません。

現在、世界で最も影響力を持つと言われるのが、「GAFA(ガーファ)」と呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社です。いずれもほんの20年前は、創業したばかりの小さな会社だったか、あるいは存在すらしていなかった。「中国のアマゾン」と呼ばれるアリババも、創業したのは19年前です。日本でも、メルカリやZOZOTOWNなどが出てきましたが、GAFAに比べればまだ小さいもの。世界中に知られるような会社が生まれないと、日本はずっと島国のままです。

「世の中は変化するもの」という本質を知っていることが重要

世界の中で日本だけが変わらないと言いましたが、ITやデジタルによる進化はこの国でも当然起こっています。例えば流通なんて、どれだけ大きく変わったか。今から30年前は、買い物といえばデパートでした。それが郊外型のモールになり、次に駅ナカが来て、さらに「On the desk」、つまりインターネット通販に変化した。ところが今はそれさえ変化して、手の平のスマホ一つで買い物できる「in the hand」の時代になった。それが今後どう変わるかは、私にも分かりません。ただ少なくとも、次もまた何かが変化することだけは分かる。先を読めなくていいから、「世の中とは変化するものだ」という本質を知っていることが重要なのです。

先が読めない変化の時代には、「どの会社に就職すればいいのか」という問いにも答えは出しにくい。だったら、取りあえず今の時点で良いと思った会社に入ってしまうことです。そして、もし自分と合わなかったり、活躍できない会社だったら、別の会社へ移ればいい。頭を柔らかくして、働く場所も変化させていけばいいのです。

日本の会社には、いまだに終身雇用や年功序列、残業といった、労働慣行が残っています。ただしそれには良いところもあって、仕事の基本はしっかり教えてくれる。だからいったん就職して、良いところだけ盗んで、あとは転職や独立をすればいい。今はスタートアップしやすい環境が整っているから、若い人が自分で事業を始めることも可能だし、若くして世の中を変えるチャンスも十分あります。

だから学生には、「人生をもっとエンジョイしなさい」と伝えたい。これまでのように大企業に入ることだけを考えるのではなく、自分が好きなことをやれる場所を探してください。その方が、人生は絶対に楽しいですよ。

取材・文/塚田有香 撮影/竹井俊晴

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