2020/11/1 更新 山田コンサルティンググループ株式会社

基本を“再定義”できた会社だけがニューノーマル時代を生き残る

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国内リーディングカンパニーの経営者たちに聞く “ 伸びる会社”の条件
世界経済に甚大な影響を与えたコロナショック。ビジネス環境が劇的に変化する中で、これからも“伸びる”会社は何が違うのか。各社のアフターコロナにおけるビジョンを知り、企業理解を深めよう

代表取締役社長
増田慶作氏
ますだ・けいさく/宮崎県出身。司法書士事務所を経て、1991年に公認会計士・税理士山田淳一郎事務所(現・税理士法人山田&パートナーズ)に入所。2000年7月、山田ビジネスコンサルティングの創業と合わせ、代表取締役社長に就任。16年10月、山田コンサルティンググループ代表取締役社長に就任した後、19年2月には、JASDAQから東証1部への市場変更を達成。東証1部上場企業、また総合コンサルティングファームとしてのさらなる発展のため、陣頭指揮を執り続けている

山田コンサルティンググループは、設立以来、中堅・中小企業向け事業再生コンサルティングをメインにサービスを提供。経営者のパートナーとして、大量の数字やデータを駆使して客観的なコンサルティングを行う一方で、経営者・従業員・その家族に真にお役立ちするという情熱を持ち、寄り添い続けてきました。直近ではM&Aや海外進出支援、人事コンサルティングなど、多様なサービスを展開しています。
そんな中、今回のコロナショックが起こりました。企業は混乱の中、生き残りをかけて必死に格闘し続けています。我々はそんな企業を支えるため、コロナ禍における経営相談や急増する事業再生ニーズに応えるべく、変革を起こしている最中です。
伸びる会社とは、現在のような非常時であっても、時代やニーズに柔軟に対応・適合できる組織だと改めて実感しています。だからこそ、そんな組織を目指して取り組んでいる施策の一つが、マネジメントの強化です。緊急事態宣言発令以前より、当社でも全社的な在宅勤務が主となりましたが、従来と比較して、無駄な時間は削減され、生産性、パフォーマンスは向上している一方で、大きな課題も浮き彫りになりました。それは「目の前にいないヒトと向き合い、どう的確にマネジメントできるか」ということ。『人が育つ組織の形成』は、これからの時代において、これまで以上に重要となるでしょう。なぜなら、オンラインでの関係性は、やはり直接コミュニケーションに比べて、言葉以外の情報量や、時としてスピード感が圧倒的に劣る場合が多いからです。特に入社初期のメンバーは、できない自分と向き合うことが多く、この時間が非常に孤独でつらい。そうした中で迅速なサポートが十分にできなかった場合、会社との距離は広がってしまいます。いくら上司や幹部が今後の方針や目指すビジョンを発信したとしても「1対N(不特定多数)」の図式による一辺倒のマネジメントでは、組織は成り立たないでしょう。目の前にいないからこそ、一方通行ではなく、お互いが今まで以上に、互いの考えや思いに耳を傾ける必要があります。
具体的には、現在私は全社員と面談をしています。根源的なアプローチのようで驚かれるかもしれませんが、1日数時間以上をかけて取り組む価値がある、原点回帰だと考えています。面談の際には、直属の上司から事前にメンバーの長所や課題、育成方針などをヒアリング。その上で本人と対話します。今現場では何が起こっているのか、メンバーがどのような考えで業務に取り組んでいるのかを把握できる貴重な時間です。また、私への質疑応答も行っています。「自分の仕事の価値はどこにあるのか」「会社が期待していることは何か」など、さまざまな質問に答えることで、メンバーの会社への理解も深まっています。面談内容はマネジメントラインにも共有し、ギャップを埋めることも大切にしています。
まさにこれが「1対N」ではなく、「1対1」の関係性であり、オンライン環境下でも、立場や役割の違いを超えて会社と社員をつなぐマネジメントだと思います。

社員育成のための環境構築と環境を活用する主体性が不可欠



並行して、教育体制も強化しています。なぜなら、我々のお客さまである企業は今、成長のための経営方針ではなく、想定外の事態を打破するシナリオのもとで、必死にもがいているからです。非常時だからこそ、今まで以上にお客さまの期待に応えられるだけのスキルや知識、能力に磨きをかけなければなりません。
従来、現場でのOJTを主として社員育成をしてきましたが、現在、育成責任者を各部門で決定し、体系化した研修制度を整備中。外部講師に加え、コンサルタントが講師となり、設立以来個々人が培ってきたノウハウや知識を言語化した実践的なエッセンスを組み込んでいます。人材育成においても、基本に立ち返り、現状の型から見直し、今の状況に合った新たな型を構築しています。
ただ、誤解してほしくないのは、研修や育成環境のみで会社を判断すべきでない、ということです。会社は社員の成長のために、環境は整えられます。しかし、環境をどう活用するのか、活用した先のキャリアや成長は、全て自分次第。伸びる会社の条件の一つに、社員の主体性は不可欠です。特に現在のように多くの会社がリモートワークへ移行する中で、主体性の有無は個人の成長の差を大きく広げます。主体的な人材は、通勤時間などを有効活用し、新たな手法を探りながら生産性向上を図り、自己研さんの時間を増やすでしょう。働き方の変化に対応できず、従来通りの意識で働く人材は、近い将来選別されていくかもしれません。
新しい時代を生き抜き、伸びていく方法を確立するには、会社は基本に立ち返ること、そして社員一人一人が主体的に業務に取り組むことから再始動する。それが私の今の考えです。おそらくこの苦境を乗り越えるには数年を要するでしょう。この期間を乗り越えた組織だけが、本当の意味で成長し、伸びていく権利を手に入れるはずです。それまでは、会社や組織の基本を再定義し、企業のコアである社員の力を十分に蓄えることが重要と言えるでしょう。
ウイルスがもたらしたオンラインという距離にひるむことなく、一人一人との関係性を自分たちで構築し、当事者意識を持って、自己実現を目指す。現場も、マネジメント層も、経営層も。私はこれこそが「伸びる会社」の条件だと考えます。

伸びる会社の条件とは?

1.目の前にいない相手とも「1対1」の関係性を構築できる組織

2.リモート環境下でも“人が育つ”組織を形成できる

3.全てのメンバーが主体的に行動し、成長できる

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