2018/5/15 更新 個×組織で最高のバリューを生み出すコンサルティングファーム

クライアントに“驚き”と“共感”を巻き起こす! 先端テクノロジーを活用し、新時代のビジネスを創る仕事【KPMGコンサルティング/コンサルタント座談会】

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個×組織で最高のバリューを生み出すコンサルティングファーム【第3回】 ―powered by KPMG―
コンサルタント一人一人の“個の力”を引き出し、チームワークで“組織の力”に変えて、クライアント企業へ最高のバリューを生み出すスタイルを貫くKPMGコンサルティング。本連載では、同社の組織風土や若手人材への成長機会の提供について紹介していく。第3回は、AI、IoT、フィンテックなど技術革新のスピードが速まる中で、最先端のテクノロジーをどう活用すればビジネスの成長に結び付くのか。幅広い知見と柔軟な発想で、既存の枠組みを超えた新しい価値創造を目指す、同社AITチームの取り組みについて聞いた。

KPMGコンサルティング株式会社
Advanced Innovative Technology パートナー
林 泰弘氏 【写真左】

慶應義塾大学経済学部卒業後、大手鉄鋼メーカーへ入社。2000年に、外資総合コンサルティングファームへ転職し、中央官庁向けのシステム開発、ITプランニング、データ分析などに携わる。2014年9月、KPMGコンサルティングへ。Advanced Innovative Technologyの前身となるデータサイエンスチームを立ち上げ、現在に至る

Advanced Innovative Technology シニアコンサルタント
熊 巧迪氏 【写真中央】

早稲田大学大学院政治学研究科修了後、2014年に新卒で大手ITベンダーへ入社し、ITコンサルタントとしてビッグデータやAI導入プロジェクトを担当。自社製品の枠にとらわれず、クライアントの課題解決に貢献したいとの思いから、17年10月、KPMGコンサルティングへ転職

Advanced Innovative Technology コンサルタント
園田玲於氏 【写真右】

慶應義塾大学総合政策学部卒業。2016年9月、成長途上にある若い組織であることに惹かれ、KPMGコンサルティングへ新卒入社。新入社員育成機関である『StartUps』に1年半所属し、18年4月より正式にAdvanced Innovative Technologyへ配属

「効率化」を越えて2倍、3倍の成長を

――KPMGコンサルティング(以下、KC)の中でも、先端技術に通じたプロフェッショナル集団であるAdvanced Innovative Technology (以下、AIT)チームは、どのようなミッションに取り組まれているのでしょうか。

林 泰弘氏(以下、林):
我々のミッションは、新しいテクノロジーを活用し、ビジネスの変革を支援することです。もちろん、ただ最先端のテクノロジーを使っても意味はありません。私たちは「人間の能力を拡張する」かのようにテクノロジーを活用しています。

例えば、業務効率化やコスト削減を図るために、「人間ができる仕事」をテクノロジーの利用によって代替したとしても、その効果は1割、2割程度にとどまります。しかし、「人間の能力ではできなかった仕事」をテクノロジーによって可能にすることができれば、2倍、3倍の効果が狙える。クライアントのビジネス変革を実現するためには、それだけのインパクトが必要だと考えています。

――具体的には、どのようなテクノロジー領域を手掛けておられますか?

主には5つの領域があります。1つ目は「アルゴリズム」。AIにしても結局はソフトウエアなので、いかにプログラムに落とし込んでビジネスの変革に結び付けるかを重視しています。

2つ目は「ブロックチェーン(分散型台帳技術)」です。現在は仮想通貨のイメージが強いですが、この技術を用いればデータを1個所に集める必要がなくなる。これが社会インフラとして機能するようになったとき、金融に限らず多様な産業でどのような新しいビジネスの構築が必要になるかを検討しています。

3つ目は「Industrial IoTアーキテクチャ」とよばれる領域です。例えば、自動運転など産業分野のIoTを実現する上で、どこに何のデータを集め、誰がどのように管理するのか、システムの全体像を描くことが求められています。

4つ目は、最近注目の「Mixed Reality(複合現実)」ですが、例えばARを用いて製造現場の高度化を図ろうとした場合、業務オペレーションから、それを支える統合システムまで、どうあるべきかを設計する必要があります。

また、5つ目として、さらにこれから実用化が進むと思われる「量子コンピュータ」のビジネス活用の検討についても、先行して取り組んでいます。

配属のマッチングを図るHR-Techのツールを開発

――非常に多岐にわたりますが、例えばどのようなプロジェクトが進行しているのでしょうか?

林:
最近では、自然言語処理技術を活用し、KCが独自開発したAI『HERO(Human Establishment and Resource Optimizer)』のプロジェクトがありますね。これは人事業務の高度化・効率化を図るソリューションで、設計から開発までを自分たちで担いました。

企業の中に蓄積されているさまざまな情報から、社員一人一人の特徴や、各部署が行っている業務の特徴を抽出し、それらの特徴を突き合わせることで、最適な配属のマッチングを実現します。現在、特許出願しており、『HERO』を活用したソリューションをさらに幅広く展開していく予定です。

人事業務にデジタルテクノロジーを活用するHR-Techと呼ばれる領域では、既にさまざまなツールやソリューションが世に出ていますが、既存のツールを組み合わせて分析するだけでは、クライアントの本質的な課題解決には至らないと私たちは考えています。

経営視点でクライアントの現場の課題を捉え、具体的な打ち手を実現するには、アルゴリズムそのものを私たち自ら手掛ける必要があると判断して、ソリューションを独自開発するに至りました。

――『HERO』開発の経緯について、お聞かせください。

林:
もともとは製造業のクライアントを対象に、製造工程における品質向上を図るというテーマがありました。品質向上の重要な要素は、そこで業務に従事する「人」にあります。各工程の担当者のパフォーマンスを最大化するには、そもそもの「仕事との相性」を精緻に見極めて配属を行う必要があるため、AIを活用してマッチングを図ることにしたのです。

この『HERO』プロジェクトには、園田さんも参加してくれたね。

園田玲於氏(以下、園田):
はい。私がこのプロジェクトに参画したのは、入社して半年くらいの頃でした。林さんと雑談をしていた時に、たまたま『HERO』のプロジェクトの話を聞いて、とても興味が湧いて自分から参加を願い出たんです。

AITチームのメンバーは、それぞれ専門性を確立した人材ばかりなので、これまで私のような新卒がAITチームのプロジェクトに参加させてもらうことはあまりなかったそうです。でも、学生時代からデータアナリティクスに興味があり、ぜひこのプロジェクトに関わりたいという思いを素直に伝えたら、「じゃあやってみる?」と(笑)。

熊 巧迪氏(以下、熊):
園田さんに限らず、こうしたやりとりはKCの中で珍しくないですよね。きっかけは個人的な興味関心からでも、しっかりとした目的と意義があれば、上の人たちは何事も「やればいい」と背中を押してくれますから。

園田:
本当にそうですね。私自身、まだプログラミングのスキルも十分ではありませんでしたが、プロジェクトメンバーの皆さんのサポートを受けて業務に習熟していくことができました。

――園田さんは、『HERO』プロジェクトでどのような役割を担ったのでしょうか?

園田:
最初は、クライアントが保有するデータの整形という地道な作業を担当し、徐々にデータ分析や、より高度なプログラミングなど、担当範囲を広げていきました。

『HERO』は、社員の情報と部署・業務の情報をデータ化し、それぞれの特徴を抽出して互いの親和性を算出し、適合度を判定するAIです。そのため、データの整形はAIのマッチング精度を上げるために重要な作業となります。

しかし最初は、整形したデータを『HERO』で分析しても、なかなか期待するような精度が出ず苦労しました。なぜ精度が上がらないのか、その原因の特定が難しく、クライアントと議論しながら仮説を立て、少しずつ条件を変えて繰り返し検証し、やっと解にたどり着きました。

この時、特に印象に残っているのは、プロジェクトメンバー全員でデータ整形作業に取り組んだことです。

林:
いわゆるアジャイル開発の一環ですが、皆で一気に取り掛かることにより、時間短縮ができますし、何より良いアイデアも生まれてくる。特に、困難に直面した際に突破口を切り拓くには、チームの力を結集することが一番大事ですから。

足元を見つめて自らを知り、枠組みを外して将来を描く

林:
もちろん最終的にプログラムとして落とし込むといっても、我々の仕事の本質は、システム構築でも運用設計でもありません。先端テクノロジーの活用によって、クライアントの経営層がビジネスの意思決定をする“材料”をそろえることが重要な使命です。

熊さんの参画されたプロジェクトは、まさに経営の将来像を描くというものでしたね。

熊:
はい。ヘルスケア企業の中期経営計画の策定にあたって、主にITシステム部門と連携し、研究開発から生産まで全部門が使う業務システムに手を入れて、社内のバリュー・チェーンを見直していくプロジェクトでした。

デザインシンキングを取り入れ、まずはクライアントの課題整理に着手し、その解決に向けて新しいテクノロジーを使うと何ができるのかを一から考えていきました。

林:
グループごと、部門ごとで完結していた業務や点在していた情報を一元化し、データ分析のケイパビリティーを強化していくことが目的でしたから、デザインシンキングのアプローチは非常に有効だったと思います。クライアント自身の固定観念を取り除いて、現実を見つめてもらうことはとても大切ですから。

熊:
そうですね。クライアント側のプロジェクトメンバーの方からも、「自分の会社のことをそこまで深く理解していなかったことに気付いた」「他部署や自分とは異なる立場の同僚たちの仕事や課題を理解しようともしなかった」などという声が寄せられました。

新しいことをやりたいという思いは皆さん抱えていますが、そもそも自分たちの課題は何か、どんな技術を使って、何が可能になるのかを、まずは理解していただかなくては始まりません。

――クライアントに先端テクノロジーの有効性を理解していただくためにも必要な作業といえそうです。

熊:
はい。技術ありき、では意味がないのです。

分かりやすい一例を挙げると、研究開発部門で行う実験という作業。これは何度も繰り返し実施して、最終的に望む結果を得るのが通常で、何回実験を繰り返せば成功するかはやってみないと分からないもの、とされてきました。

ところが、AIで過去の実験データを分析すれば、成功や失敗のパターンや発生率を予測できる。つまり、入手したい結果を得るためには、何度の実験が必要かを事前にプランニングすることも可能になるのです。

そうなれば、業務効率化やコスト削減はもちろん、生産・流通計画も含めて、経営サイドもさまざまな打ち手を講じることができるようになります。クライアントの経営陣も、「そもそも、こんなところに課題があるとは気付かなかった」と目を見張っておられました。

現状から本質的な課題を掘り起こした上で、AIというテクノロジーの活用を採択するからこそ、クライアントの納得と共感が強く得られるのです。

個人としても、チームとしても、チャレンジを続けていく

――現在、AITチームはどのようなメンバー構成になっているのですか?

林:
もともと私は、データサイエンスのビジネスを立ち上げるためにKCに入社しました。当初は1人から始まったこのチームも、今や25名に増えました。現在は、20代メンバーも多く、マネジャー層も30代前半と、若手ながらも専門性を持った人材が活躍していて、活気があります。

冒頭で、現在手掛けている領域を5つ挙げましたが、この幅広さはまさにチームメンバーが持つ専門分野が多様性に溢れていることの証です。

それらの専門性を活かせるビジネスを生み出すことが私の使命でもありますが、同時に一人一人がさらに新しい分野にどんどんチャレンジできるチャンスを提供し、チームとしてカバーできる領域をさらに広げていってほしいと期待しています。

園田:
私は、KCは成長途上にある組織なので、若手にもいろいろなチャンスがありそうだと期待して入社を決めましたが、実際に入ってみると予想以上でした。

グローバルのパートナークラスに『HERO』をプレゼンテーションする機会がありましたが、英語での概要説明と質疑応答を私のような新入社員に任せてもらえた時は本当に驚きました。

林:
もちろん無茶ぶりしたわけではなく(笑)、綿密な計画の下にお任せしたんですよ。

特に園田さんのような新卒のメンバーには、KCならではの経験をしてほしい、と強く思っています。ファーストキャリアとなるKCでの経験が、今後の本人のキャリアを支えるベースとなるわけですから、なるべく予定調和ではなくチャレンジングな経験を積んで成長を加速してもらいたい、と考えているのです。

園田:
はい。事前に練習を見てもらい、レビューもいただき、しっかりとサポートしてもらいました。緊張はしましたが、成長できる機会を与えてもらえるのはすごくありがたいです。

また、ブロックチェーンの最新動向を調査しに行きたいと申し出て、2週間の海外研修を許可していただいたり、まだ入社して1年半ですが、本当に多くの学びを得ることができていると実感しています。

この4月から、いよいよAITチームに正式配属となりました。人口減少時代の社会のさまざまな課題に対して、テクノロジーの活用によって抜本的な解決策を提供できることはとても面白いし、やりがいがあります。

熊:
KCは若いうちからやりたいことにチャレンジできる自由があり、とても快適な環境です。

私は、より幅広い産業に対し、課題解決のソリューションを提供したいという思いからKCへ転職してきました。新たな知見を得るチャンスが豊富にあるこの環境を最大限活用して、あらゆるテクノロジー領域を手掛けていきたい。そして、目まぐるしく変化していくビジネス環境の中で、クライアントが抱える新たな課題を解決し続けていけるよう成長していきたいですね。

――最後に、AITチームの生みの親である林さんにお伺いします。これからどんな挑戦を仕掛けていきたいですか?

林:
チームとしてやりたいことはたくさんあります。

デジタル・トランスフォーメーションが進む今、企業は一度ゼロから自社の“本業”を見つめ直す必要に迫られています。自動車業界で製造業からサービス業への転換が進んでいるように、各産業で同じことが起こり得るでしょう。我々も、クライアントに対して既存事業を問い直すことで、インパクトのある提案をしていきたいと考えています。

また、AITチームのソリューションをアジアへ展開する取り組みにも既に着手していますから、オリンピックイヤー後の景気動向を見据え、この2年間で確かな筋道を作っていきたいですね。

それから最近、ちょっと面白い取り組みとして、『宇宙クラブ』というクラブ活動をスタートしたんですよ。まだ具体的なビジネスとして成り立つまでにはいきませんが、宇宙技術は近い将来、確実に需要が高まる分野。先行して楽しみながら触れてみることで、メンバーの可能性を広げていきたいのです。

AITチーム、ひいてはKCのさらなる飛躍のために、常に未知の領域を切り拓いていく。それこそが、私にとって最大の挑戦でしょうね。

取材/福井千尋(編集部) 文/瀬戸友子 撮影/竹井俊晴


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