2019/10/29 更新 アクセンチュア

先端技術で良い変化を 生み出すことこそが使命

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機械と人間の協働とは
アクセンチュアが描く、今後のAIビジネスの道筋
AIによって世界経済には今、大きな革命が起きている。ビジネス界が大きくAIに軸足を移す中で、先端テクノロジーに強みを持つアクセンチュアはどのような道筋を描いているのだろうか。

先端技術で良い変化を 生み出すことこそが使命

デジタルコンサルティング本部
アクセンチュア アプライド・インテリジェンス日本統括 兼 アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京共同統括
マネジング・ディレクター
保科学世氏
慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了。理学博士。多くの先進サービスの開発を統括し、デジタル変革を支援。現在『AI HUBプラットフォーム』を中心にAIを活用したさまざまなソリューションの開発をリードしている

AIを活用する意味が最もあるのは日本

これから先、デジタル技術自体はもはや差別化要因にはならず、その特性を生かした戦略的な取り組みを進めることが重要です。それを当社では「ポストデジタル時代」と定義し、世界のテクノロジートレンドに関する最新調査レポート『Accenture Technology Vision 2019』ではAIの重要性を発信しています。  特に日本の場合は人口減の問題が深刻です。2035年には人口の3分の1が高齢者になり、20年後には人口が1億人を下回るというのは避けようのない事実。現状のままでの経済成長は見込めませんが、AIを活用した場合の潜在的効果は先進国の中で最も大きいという試算も出ています。つまり、これからの日本にとって、AIが果たす役割は非常に大きい。  AI活用を企業や日本の成長につなげるためには、機械で自動化すべきことと人間がすべきことを定義する必要があります。AIはアルゴリズムをつくって終わりではなく、データから学習し、進化していくもの。AIを正しく進化させるためのデータをどう集めるのか、自社の強みは何なのか、そして集めたデータを生かすための整備はできているのか。AIを活用するためにやるべきことは多々あります。要は、「AIに全てを任せれば上手くいく」という単純な話ではないのです。  ですから、「とりあえずAIを活用したい」というようなAI導入の依頼は、お断りすることもあります。AIの黎明期である今は、「良さそうだから」というイメージからAI活用を考える企業も少なくないのですが、AIは万能のツールではありません。課題を解決したり、企業の強みを伸ばしたりする上で、最適な方法はAIとは限らないのです。  また、近年は「AIに仕事が奪われる」といった話が目立ちますが、全ての仕事がAIに置き換わることはありません。AIと人間では得意なことが異なります。  例えばAIは、大量の情報を集めて、24時間高速処理することができます。画像認識などのセンサリングも高度化し、人間の五感を上回るものも出てきている。このように定められた目標を最適化することが得意である一方で、目標そのものは人間が設定する必要があります。だからこそ「解決すべき課題がどこにあるのか」を考えることがより重要なのです。 また、「この選択は倫理的にどうなのか」といった判断も機械には任せられないものですよね。  中でも人間特有の能力として重要性が増していくのが、「共感」です。共感されたいという思いは普遍的なものであり、職場など、自分が活動する場所への共感がモチベーションを左右し、その結果として成果物の質に違いが生じます。人間は機械に比べて多様です。そこに企業の差別化要因が生まれ、「AIに置き換えられない仕事」があるのだと思っています。

AIが実現する次世代の業務プロセス



先述した通り、AIはつくって終わりではなく、データを更新し続けることで徐々に最適化されるもの。つまり学習期間を見込んで、素早くサービスを立ち上げる必要がある。そのために当社では、『AI HUBプラットフォーム』を提供しています。さまざまなAIエンジンが生まれる中で、各々の得手、不得手や特徴を捉えて適切な技術を組み合わせることができ、さらにあらゆるデータがこのプラットフォームを経由することで効果的に学習し、進化します。お客さまの多様なニーズに応える高品質なサービスをスピーディーに提供できるのが強みです。  実例として、次世代型のコンタクトセンターが挙げられます。従来は利用者とオペレーターの一対一でのコミュニケーションが前提でしたが、コンタクトセンターは人材難で、今のままでは応対スピードが落ち、顧客満足度が低下するという課題を抱えています。そこでAIを導入し、顧客からの要望や商品リクエストに対して、人間と同様に提案できるように設計をしました。利用者から高度な質問を求められた場合には、オペレーターに接続されるようになっています。その際、オペレーターにはAIが伝えた内容や利用者の回答が提供され、AIのサポート付きで利用者とコミュニケーションを取ることができます。  このサービスはさまざまな業種で活用でき、他に航空会社のカウンター業務支援でも試験的に活用を始めています。顧客と会話する空港スタッフの音声をAIが認識、理解し、手元のタブレットにその時に必要な情報をリアルタイムに表示する。利用者の利便性はもちろんのこと、スタッフが自ら情報を探し回ることがなくなるため、スタッフの業務負担の軽減にもつながっています。  企業のバックオフィス業務をAIが対応する可能性を追求すべく、『アクセンチュア・インテリジェント・オペレーションセンター福岡』という新たなサービス拠点を今年開設しました。先端的なデジタル技術の活用によって業務プロセスの自動化を目指す上での中核拠点です。人間とAIの協働による、次世代の業務プロセスを探っています。

お客さまの利益追求を 手伝うだけでは不十分

経営者やコンサルタント視点から見ると、労働力不足が進む中、企業はコア業務に人員を集中させる必要があります。大切な社員を、その社員が本当にやるべき業務にいかにシフトさせるか。それを実現するためにAIができることは幅広いと日々感じています。  いろいろな可能性があるのがAIですが、実は当社ではAIを売りたいという観点でのビジネスはしていません。さらに言えば、「売らなければいけない技術やサービスもない」と考えています。何よりも大切なのは、お客さまが抱えている課題に真摯に向き合い、最適な提案をすることに他なりません。その際に、コストやスピードの観点からAIが最適である場面が今の時点では多いというだけのことです。  また、新しいサービスをお客さまと創出するためには、お客さまの目先の利益追求を手伝うだけでは不十分。同時に、例えば労働人口の減少といった社会課題と向き合うことを考えるべきだと私は思います。そんな観点を持ちながら多くのお客さまに向き合い、アイデアを提供することで、各業界、日本社会、さらには世界が良くなっていくことを体感できる。そんな機会や実現性があるのが、アクセンチュアという会社です。それこそが私が当社で働く理由であり、AIをはじめとした先端技術で世の中に良い変化を生み出すことが使命だとも思っています。

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